2023~Z900RS 編 其の参
- 投稿日時:2023年03月20日
- カテゴリー:Z900RS 2023
★何ヶ月もやっているだけに全体的には理想の特性に近づいている★
Z系の車両には必須のショート管。
実はこのルックスを踏襲したまま、性能にこだわるのは至難の業なんだ。
基本的な出力特性はエキゾーストパイプの太さと長さ、
そして集合のタイミングで、独自のトルク特性を引き出すことができる。
一方音量はと言うと、基本的に性能が向上すればするほどシ
リンダー内の爆発が強くなり、音量は大きくなる。
効果的な消音の方法は、マフラーの出口付近に消音器を備え音を消す。
この消音器の容量が、大きければ大きほど消音効果が上がり、
音を消しながらもエキゾーストパイプにより、
引き出された性能への影響を抑えることができる。
要はマフラーが引き出した本来の性能を落とすことなく
音量を規制値に抑えるためには、
マフラー出口付近に設置される大容量の消音装置はとても効果的だということ。
しかしショート管には、この出口付近に消音器の容量を確保することができない。
そこで、昨今のマシンの著しい高性能化と厳しい音量規制の間で、
このショート管を採用する際には、性能と音量のせめぎ合い、
全てが限界ギリギリで、作っては測り、測っては走り、
その結果をみてまた設定を変えて作り直す・・・。
だから、通常のマフラー開発の10倍以上楽しめる。
そして10倍以上労力がかかる。ここが結構問題なんだ。
もう、何ヶ月もやっているだけに全体的には理想の特性に近づいている。
直近の開発課題は2000rpm付近のトルクが極端に上がり、
2500rpmに大きく谷が生まれ、とても神経質な特性になっていること。
もう、この特性を抑えるために朝から晩まで何日間も費やしている。
残念ながら、今のところ過去に蓄積された方程式は、一切通用していないところだな。
SP忠男開発チーム