忠さんが陣頭指揮をとってマフラーを開発していく実際のストーリー｜マフラー開発奮闘記

★本当にやるのか？★

開発担当の大泉いわく、先日のキャンペーンで
量販店の店頭に立っていると、
１人のお客様から話しかけられたそうだ，その内容はこうだ。
「SP忠男さんは外車のマフラーは扱っていないのですか？
私はBMWのF800STに乗っているのですが、
低速域でトルクがなくてとても走りづらいのです。
忠男さんのマフラーはとても乗りやすくなるそうですが、
F800STのマフラーは出さないのですか？」

　たまたま、双子車両のF800Sに乗っている大泉はピンときたそうだ。
いまはもう五年も乗っていて通勤にしか使っていないので
そんなには感じていなかったそうだが。
　数年前に仲間と二人でツーリングにいった際に
4速5速を多用して制限速度プラスαで走行していると
もの凄くストレスを感じたそうだ。
回転数でいうとちょうど2,000rpmから3,000rpmの間
この間のエンジンの出力特性があまり良くない、
回転の上昇が少し淀むのだそうだ。
ギアチェンジもこの域ではスムーズに行なえないこともある。
それ以外はパーフェクトなエンジン特性なのだそうだ。

多分、ヨーロッパ等の平均的走行速度の高い地域では、
ほとんど問題ないのだが日本では案外ここを良く使う。
本来であれば2気筒のパルス感を楽しみながら走りたいところであるが
そうはいかないのがこのエンジン特性なのだそうだ。

その話を社内でするとなんと、
このお客様以外にも同様な話を何人かのお客様から聞いていると言うではないか。
しかし、過去にBMWK1000やDUCATI900SS用に
めちゃくちゃ走りが楽しいマフラーを開発したことがあるのだが、
ライダーが見栄っ張りだったせいか、全く売れずに大損をしている。
本当にやるのか？

まずは、シャーシダイナモ（出力特性測定器）を使って、
このエンジンの性格を確認してみるか、
それを見てから開発するかどうするか考えよう！　

な～るほど、この赤丸のところが、
ちょうど2,000rpm～3,000rpmにあたるところ。
ここを改善すると、このマシンの良さが日本でもさらに発揮されるかもしれないな！
開発してみる価値はありそうだな！

忠

★F800Sのマフラーを作りたい？★

開発責任者の大泉が『F800Sのマフラーを作りたい』って言ってきた。
やつはかれこれ、5年以上もこのバイクに乗っている。
いままでこのバイクのマフラーを作ろうなんて一切言ったことがないのになぜだ？
だいたい開発関係の人間は、こと自分のバイクに限っては
面倒くさいのであまり手を着けようとしないものなのだ・・・。

忠

★これぞライトウェイトスポーツスクーター★

そうそう！これなんだよ！
fazeの場合軽くて加速が良くてコーナーリングが楽しくて・・・・
だけど基本がforzaとエンジンが同じで、
力の出方が走りのコンセプトに合っていない.
そんな感じがしていたんだ。
どんなふうに合っていないかって言うと・
40km/h〜90km/hの一番スポーツを楽しめる速度域に
グィ〜ンていう伸びがあるともっともっとワクワクできる。
元気にスポーツできる、もっと楽しい、
ここをなんとかした〜いて言う感じ。
と言うことで、
開発担当の大泉にここの回転域の高揚感というか
ワクワク感を引き出すようにって依頼をしておいたんだ。

　結果。
いい！本当にいい！
これぞライトウェイトスポーツスクーター！
楽しいぞこれでいいんだこれで！

おいっ ちょっと待てよ！
なんかこのデザインちがくないか？　　
ライトウェイトスポーツぽくないぞ！
もっとショートにもっと軽快に見せてくれよな！

　忠

★開発風景を動画で公開するよ！★

「いうは易し、産むはた〜いへん」

　基本的にMF10FORZAで徹底的に性能だしたマフラーだけど、
フェイズ用に変更するとなると、一から創るような手間がかかる、結構大変なんだ。

　今回シャーシダイナモ（出力測定器）で、大まかな性能だしを行い、
その後、実走テストによる開発風景をかいつまんで動画で公開するよ！

　こんな一連の作業を毎日10数回づつ何日にもわたって行うんだ、
結構大変なんだぜ！

　忠

★中速から高速にかけてフラットすぎて・・・★

　そのままつけば開発コストも浮くし、在庫も少なくてすむし、
いっぺんに沢山創れるし・・・・。
今回は楽でいいな！！

　えっ、そんなに世の中甘くない？
とりあえず、FORZAのマフラーで、乗ってみろって？

本当だ！
これをフェイズ用だと言って、売ったらみんながっかりするな！
確かに４０Km/hまではガア〜ンてっ、感じで加速するけど
中速から高速にかけてフラットすぎて全く楽しくない！

　せっかくの軽量スポーツスクーターなんだからこの特性を生かして
もう少しエキサイティングな要素があった方がわくわくするよな。

よ〜し、気合い入れて開発をするか。
世の中のストレスが、す〜っと、どこかに飛んで行くようなやつを
なっ！　開発担当者諸君！

忠

★あ”〜　ついた！★

やっぱりな〜〜！
MF１０FORZAとそっくりじゃん！　
マフラーなんてそのままついちゃったりして？
ちょっと、MF１０FORZAのマフラー外してFAZEに付けてみな！
あ”〜〜〜〜〜〜ついた！

　忠

★俺ならもっと加速を良くできるな！★

　乗ったよ乗った！　フェ〜〜〜ズ！
軽いっていいね！　加速がいい！　フットワークがいい！
押し歩きが軽いから気軽に乗れる！　いいよこれ！

　さすがHONDAの優等生スターとダッシュが結構いい。
特性はフラットフラットで乗り易い、でも俺ならもっと加速を良くできるな！
それに40Km/hくらいからの速度がのびる感じを引き出したら
このマシン夢のような走りをしてくれると思うんだ。楽しみだな！
　あれっ？
このエンジン、このノーマルマフラーどこかで見たことない？
あれっあれっあれっあれ〜？　

　忠

★期待のスクーターだ★

　みんなフェイズ見た？　
うちにはいま新車が有るんだ！　
黒のフェイズ！　
実物は写真より１００倍いかっこいいぜ！
それにとっても軽い、走りもよさそう、期待のスクーターだね！　

忠

★天才だね！★

　いつも思うけど、うちの開発スタッフは天才だね！
前回指示を出しておいた70km/h〜90km/hのつながりの悪さを、
トルクを上げることで完璧にフォローしてくれた。
もうこれで、どこの速度域からでも右手に連動してグングン前に出る。
楽しい、ほんとーに楽しい。
街なかはもちろん、ワインディング、ハイウェー、
どこに行っても最高に楽しい！
もちろんタンデムなんて最高のマッチングだっ！

　さ〜あ、あとはバンク角やメンテナンス性も考慮して、
最高のデザインに仕上げて発売だ。もう少し待ってくれよな！
この夏、各地で行われる
「ライドオン試乗キャンペーン＆サウンドピックアップ体感キャンペーン」に出展いたします。
興味のある方は、ぜひ！この機会に
「見て」「聞いて」「乗って」この楽しさを体験してみてください！

スタッフ一同

★ 楽しい気分 ★

　またあれからいろいろ細かく指示を出しておいたから、
今度はかなり時間がかかったけど、
かなりドンぴしゃの性能に近づいているようだ。さて、乗ってみるか。

　うんっ、いい、いい、かなりいい。
　う〜ん、おしい・・・。

交差点を曲がっての立ち上がり・・・最高！
立ち上がって車の間を縫うときのリズム・・・最高！
車を抜き去って引き離す・・・うむ、いまいち。
70km/h〜90km/hのつながりが良くない。
ここで楽しい気分がさめてしまう。
もう少しだっ。もう、ほんの少しだ。
さあ頑張っていこうぜスタッフ諸君！
ということで、乞うご期待。

忠